84<虜>

「ぅんンうッ!」
 感電でもしたかと思った。体が勝手にびくっと動いたから。
「うぁっ、あぁああア! あうあっ、っはア!」
 今までのは何だったんだってくらいの高嶺の勢いに、完全に捕まってしまった感じがした。
「こっち見ろ、夏樹」
「あィっ、っは、っあ」
 あぁ、なんだ、高嶺の顔が見える。
 あれ、目隠し、取れた? 取ってくれた?
「とっくに泣いてんのな」
 高嶺は何か言いながら同時進行で動いてくる。
「っは、ァっ」
「もっと」
「イぁあッ!」

 ぐいっと腰を引き寄せられて、背中が滑る。
 食い込み気味にタオルが締まって、忘れかけてた縛られてるってコトを思い出した。
「うゥーっ、ンぁ、ちょ、まぁっ、イっ、鬼ぃっ!!」
 視界が戻ったのに、嫌なモノを見せられると見えないままの方が良かったとか思う。
 体がいっぱいいっぱいで、もがいて抵抗することももう無理だ。
「鳴いてろって」
「ンゃッ」
 うっわ変な声出た!!
「できた」
 目隠しに使っていたらしいタオルの短い方の端と端で高嶺が結んだのは、なんていうか、まあ、俺の……。

「いやだっ、んなのむりっ! 絶対むりっ、はずせっ」
「お前がやっていいって言ったんだ」
「……ッ」
 これをやれとは言ってねえーっ!!
「あっ、アぁあ……っ」
 言い返したかったのに、高嶺が動くことに集中し始めたらもう終わりだった。
「ぅっ、くぅっ、あッ、アぅ、っハ」
 だんだん、圧迫感が弱くなってきて、そっちの方がいろいろと主張を始めてくる。
「うぅーっ、っウ、ッあ! っはあッ、あィっ」
 どうしたらいいか分からなくて、訴えようと視線をうろうろさせてたら高嶺と目が合った。

「何だ?」
「ふ……あ」
 高嶺はなんと優しいことに、俺が言葉を話せるよう少し動きを緩めてくれる。
「……は、お、俺っ、……どうし、なにっ、したらっ、いいっ?」
「………………」
「これっ、どうする、もん……っなん、だっ、よぉ」
 分からないから翻弄されっぱなしなんだ。
 わけが分からなくなって、苦しいんだ。
「……たか、みねっ」
 なんでか分からないけど動きを止めた高嶺に、乱れた息を整えようとしながら問いかける。
「なぁ……、……。しん、や?」
 返事がないから下の名前で呼んでみた。

「……お前の場合」
「え」
「そういうのは慣れてきてからでいい」
「え?」
「おねだりとか後ろ締めるとか、できねえだろ?」
「…………」
 なんだ、それ……。
「てか、そんなこと出来る余裕、残させるつもりねえし」
「……」
「素直に反応してくれるだけでいい」
「…………」
「………………じゃ、続きな」
「ぅアうッ!」

 ちょっと待て言われた意味まだ理解してなっ!
「イあぁ……! まっぁ、ひ……っ、ア、あ!」
 すでに結構息絶え絶えだったのに! 待ってコレいつまで続くんだ!?
 俺イケないのに! 終わりっていつ来んの!?
 マジで外して頼むから! 無理だって!
 ゴールを俺から奪わないでくれ!
「……か、みねぇっ!」
「……イキたそうな」
「もっ、ごめ!」
「許して欲しいの……? ……、まだな。……あとで」
「ふぅゥっ、ぅあっ! あぁァぁっ」
 もう、もう変な声とか言ってられない……。
 完全にたがが外れた声になってる。

「ンぁあっ、……ッ、ぅヤぁッ、やめ、っあァ!」
 前っ、むりっ! ちょっと! 勢いっ、強すぎてっ! 前前っ! とって! 早くっ!
「うぅううッ! っくぅ! っはァ!」
「お前っ、失神とか……すんな、よ?」
「あ!? ぇあ!? あぅっ、はあっ」
 そこ、やめてっ、とまらないからっ、落ちるから!
「やべぇ、俺も、意味わかんねぇ」
「うああアもぉっ、たすけっ、イキたっ、ぁあ」
「ごめんずっと聞いてたいソレ」
「んヤぁっ、んあっ、っは、いやっ、ゆるしっ、も、だめだっむり! おねがっ」
 め、目隠し、ないのに、もう何が見えてるか分からない。
 体が揺れて、視界も揺れて、高嶺の顔が見えない。

「おねがっ! おねがッ、い! ぃヤアぁ! とめ、とめてッ! ふアッ!」
 もうのぼりたくない、足場なんてない、のぼれないから、一回とめて。
「夏樹……っ、お前ッ、こえーよっ」
「イあぁ……、むりっ、ごめ……ッ、……っやぁ、しんっ、やあぁ」
 名前、名前。
 俺の話を聞いて。俺の頼みごと聞いて。
「しんやっ、あァッ」
 何回でも呼ぶから、呼んでほしい名前で何回でも呼ぶから、だからお願い聞いて……。
「夏樹っ」
 頭の中に直接聞いた気がした。
 ぎゅっと抱き寄せられたぬくもりがあって。中の角度が変わって。
「……ッッ!!」
 何かを思いっきり貫かれた感覚。
「ヤっあ、ぁあっアぁあッあ、あッ」
 まっしろになって、体が利かなくなって、ビクビクはねた。

「ひあっ、あ、っはァ、ア」
「なつき……、お前まさか、今、イってる?」
「…………ぁはあっ、ア、っはあ」
「うっわ、ドライの方? おま、初めてだよな……?」
「……はぁ、はぁっ、へ、あ」
「なんでお前、そんなに俺を……虜にさせたいか……」
「…………っは、あ、ぅあ?」
 気が付いたら、高嶺の顔が目の前にあって、次の瞬間にはもう塞がれてた。……口を。

「ふっ、うンっ、んぅう!」
 そのまま動かれて、まだ終わってないことに泣きそうになる。
 いやもう、涙自体はとっくに出てるみたいだけど。生理的ってやつ……。
「……俺もっ、そろそろ、イカせてくれ、夏樹」
「ぇあ、や、はずし」
「……出して、ないからな……。限界なのは、相変わらず、か?」
「は、あ、ちょ、まっ、……ぅアゥッ!!」
 もうやめてお願いだ……!!
 動き出した高嶺の下で、首を振るぐらいしかできない。
「うぁっ、ヒやぁ」
「ヒやぁって何だお前……っ、」
「ン、なことっ、ぃわれて、も……っ!」
「なんだ余裕……っ、だな」
 水音が、嫌に大きく耳に飛び込んできた。

「い、いやだ!! やめろ高嶺っ! 慎也っ!! それ無理っ!」
 あ、あんなにさっき! 有り得ないと思ったのに!
 この状態でそれされたら、絶対死ぬっ!
 ただでさえ、もう今すぐにでも解放してほしいのに……!
「も、もうむりっ、いやだっ、やめっ」
 水音が強くなる。高嶺が先を指で押さえたからだ。
「嫌だっ! 嫌だ嫌っ! ……めろ、あ、いや!」
 足をじたばたさせたのも、中を思いっきり突き上げられたせいですぐにできなくなって、タオルごとそこを掴まれて。

「イっ、ャぁアぁああ!!」
 なんで、なんで高嶺っ、こんな嫌なのにっ!
「すっげ、しまる……っ」
「ふゥアあッ、あアぁうあ! っめ、ア、ああぁあ」
 にげ、逃げたいっ、助けて! お願いだからマジで高嶺っ! うああ……
「っく、う……!」
「…………っ」
 中が、ジンとして、止まっていた波が一気に来た。
「ッ、ゥあっあ、あぁアあ、あ!」
 声なんか、とっくの昔に抑えることを忘れていて、体が求めるままに息を吸って、吐く。
 もう耐えていられなくて、ふっと色々遠くなった。